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参考資料

■金型寿命について

>金型破損原因 >ツールマーク >脱炭素 >放電変質層


■物理的特性について

>熱膨張係数 >熱伝導率 >ヤング率  


■工具鋼の特性について

>靭性 >シャルピー衝撃値 >引張強さ >圧縮強さ
>疲れ強さ >高温強さ >軟化抵抗 >耐摩耗性
>耐ヒートクラック性 >耐溶損性 >焼入性 >被削性

金型破損原因追及

金型が短寿命で破損した場合に、先ずその短寿命が突発的に発生したか急変か、漸減か、慢性かを明確にする必要があります。

突発・急変の場合には、短寿命化した原因を特定して対策を打つことが肝要です。慢性の場合は、主要損耗の原因を明確化し、成形条件変更により負荷を軽減したり、同負荷に対して有利な方向に型材料、硬さ、熱処理、表面処理などを変更したりする必要があります。漸減の場合には、経時的に劣化している要因の排除、あるいは慢性と同様に型材料面の一段のレベルアップを図る必要があります。


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ツールマーク

切削加工時のツール目のことです。粗く残存すると応力集中源となり、クラックが発生し易くなったり、摩擦係数を増加させ、早期磨耗に繋がったりします。応力集中個所のツールマークは研磨などによる除去をお願いします。


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脱炭

熱処理時、金型を取巻く空気中の酸素と金型表面の炭素が結合することにより、金型表面の炭素量が減少する現象です。脱炭しますと熱処理時の膨張量が少なくなり、マルテンサイト変態点も上がるため、焼入れ時の表面引張り応力が増大し、焼割れ・熱処理変形を起こしたり、引張り応力が在留したりします。脱炭部は低強度と引張り応力在留により疲労強さが低下するため、クラックが発生し易くなります。また、低強度のため早期摩耗も発生し易くなります。

脱炭対策は真空熱処理炉の使用が最も効果的です。


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放電変質層

型彫り放電加工(EDM)やワイヤー放電加工(WEDM)は、型材表面を放電スパークにより溶融・除去する加工法であり、放電加工表面には、溶融層(凝固組織で焼入れまま状態であり、低靭性)、再焼入れ層(低靭性)、再焼戻し層(低強度)の変質層が発生します。特に微細クラックを伴うような溶融層が残存する場合には、早期クラックが発生し易くなります。負荷の掛かる部位を放電加工する場合、放電加工後の放電加工溶融層の除去徹底をお願いします。


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熱膨張係数

温度変化による材料の寸法変動の大きさを示す数値で、20等から所定温度までの単位温度・長さ当たりの平均寸法変化量で示されます。工具鋼の場合、材質により差はあるものの、10〜14×10⁻⁶/程度が主流です。


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熱伝導率

熱の伝わり易さを示す数値で、大きい材料の方が熱を伝え易い傾向があります。熱伝導率は合金元素の含有量の少ない炭素工具鋼や合金工具鋼が大きく、WやMo系の炭化物を多く含む高速度工具鋼が小さい傾向があります。


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ヤング率

縦弾性係数とも言います。引張試験での弾性変形域における“応力/歪み”の比率です。工具鋼の場合、一般的に210GPa近傍ですが、WやMo系の炭化物を多く含む高速度工具鋼で高い数字となります。また、同材質でも熱処理条件・試験温度によって変化します。


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靭性

割れやクラックの発生し難さの指標です。シャルピー衝撃値や抗析力などが一般的に使われ、数値が大きいほど靭性が高く、割れ難い傾向があります。各種冷間金型用鋼のシャルピー値と硬さの関係では、硬さが高いほど衝撃値は低下しますが、同じ硬さでも鋼種差があります。SKD11等巨大一次炭化物が多数存在する材料はクラックが発生し易く靭性が高くなります。また、個々の鋼種に注目しますと、同材質の最高硬さの近くで衝撃値が低下する傾向がありますが、硬さを低くしても衝撃値はあまり向上しません。このことは、各鋼種で最適な使用硬さがあることと、衝撃値の向上には硬さを下げるよりも鋼種変更が有効であることを示しています。なお、熱処理につきましては、焼入冷却速度が速いほど靭性が向上する傾向があります。割れ問題のある工具で、油冷、高圧ガス冷、ソルト冷却などの急冷焼入れが採用されるのはそのためです。


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シャルピー衝撃値

工具鋼の靭性の評価指標として広く用いられる値で、2mmUなどのノッチの付いた試験片をハンマーで破壊し、破断に要したエネルギーを試験片の断面積で除した値を用います。熱間工具鋼には2mmUノッチ試験片(JIS・Uノッチ試験片のノッチ下高さ8mm)が、冷間工具鋼には10Rノッチ試験片(JISに規定なし)が使われます。なお、この他に2mmVノッチ試験片(JIS・Vノッチ試験片)やノッチなし試験片(JISに規定がありませんが海外で使用されています)などが使われます。


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引張強さ

引張試験で、破断するまでの最大荷重の値を、試験片の初期断面積で除した値です。

約55HRCまでの低硬度では、引張強さは硬さに比例して高くなり、鋼種間差は比較的小さい傾向があります。しかし、SKD11では約58HRC、高速度工具鋼では約62HRCで極大値となり、それ以上では急激に低下する傾向があります。低下の度合いは、鋼種により差があり、巨大一次炭化物の多い材料では著しくなります。


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圧縮強さ

圧縮試験で、破断するまでの最大荷重の値を、試験片の初期断面積で除した値です。

圧縮強さは硬さ54〜70HRCの範囲で、鋼種によらず硬さのみに比例して高くなる傾向があり、圧縮変形している工具の寿命向上のためには硬さの向上が有効となります。


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疲れ強さ

引張強さや圧縮強さ以下の応力が繰り返し負荷される時、表面に疲労クラックが発生する場合があります。各応力に対する破断サイクル数をプロットし近似泉を引いたものがSNカーブですが、このカーブは10サイクル近傍で飽和します。このため、一般的に10サイクルに対応する応力を疲れ強さの判断に用います。疲れ強さは、引張強さと相関があり、合金工具鋼クラスの材料は、硬さが50〜58HRCのとき、高速度工具鋼は60〜62HRCのときに最大値となります。疲れ強さは表面粗度やコーナーRの影響を強く受けますので、金型が疲労破壊している場合には応力集中しやすい部位の仕上面祖度を可能な限り良くすることや、コーナーRを大きくとることが有効な対策となる場合が多くなります。なお、表面粗さによる疲労強さの向上度合いは、粉末高速度工具鋼のように組織の微細均一な材料の方が大きい傾向があります。窒化は母材表面に圧縮応力を残留させますので疲労強さが向上します。


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高温強さ

熱間で使用される工具の場合、使用温度での強度が重要となりますので、高温引張試験を行います。600℃以下の温度では、材質の差よりも初期硬さの差の影響が大きい傾向があります。700℃では初期硬さの影響は殆どなくなり、W・Moなど高温強さに寄与する元素を多く含む型材の強度が高くなります。750℃以上になると、工具鋼では焼なまし温度域となり、高強度工具鋼でも使用に耐えないため、超耐熱合金などの適用が必要となります。


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軟化抵抗

熱間工具は、使用時に表面が焼戻し温度以上にさらされるため、使用中に型表面から硬さが低下し、強度・耐摩耗性が低下していきます。この軟化度合いを把握するため、型材を所定温度に保持した場合の硬さ変化を測定したデータです。硬さの低下が少ないほど、軟化抵抗が高い材料です。一般的にW・Moなど高温強さに寄与する元素を多く含む型材の軟化抵抗が高くなります。


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耐摩耗性

工具表面を被加工材がすべるときに摩耗が起きますが、これに対する抵抗力を耐摩耗性と言います。硬さの向上、耐摩耗性の大きな材料(SKD11)や高速度工具鋼など、硬質炭化物が多く含まれる材料の適用や表面処理の適用で耐摩耗性の向上が図れます。工具鋼の耐摩耗性評価には大越式摩耗試験が広く用いられています。

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耐ヒートクラック性

熱間工具の表面は、被加工材との接触による昇温、潤滑剤、離型剤噴霧による冷却の温度サイクルにさらされます。このサイクルによる応力サイクルで発生するクラックのことを、ヒートクラックまたはヒートチェック(ダイカスト型の場合はこちらの表現を使用)と言い、これに対する抵抗力を耐ヒートクラック性または耐ヒートチェック性と言います。

耐ヒートクラック性は、昇温温度域における高温強度が高く、冷却温度域における延性の高い材料が優れます。昇温温度が600℃程度までの場合は、高硬度で靭性が下がり難い材料(ダイカスト型材の例:DAC55)を高硬度化して使用することで耐ヒートクラック性は向上します。700℃程度になると、同温度で高温強度の高い材料(ダイカスト型材の例:DAC45)を使うことが有効となります。


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耐溶損性

例えば、アルミダイカストで、溶湯のアルミニウムと金型材料が化学反応により合金化し、それがアルミニウム側に取られていくことにより、金型材表面が侵食される現象や、ゲート正面などで溶湯の衝突により金型材が摩耗する現象を指します。

SKD61系材料より、SKD8系やマトリックスハイスなど高合金系の材料の方が耐溶損性に優れます。なお、窒化をすることによっても耐溶損性は改善されます。


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焼入性

焼入れのし易さを示す指標です。合金元素が含まれないSK材は焼入性が悪く水焼入れしか出来ません。SK材に少量のMnやCrなどを添加して焼入性を改善し、油焼入れを可能にした材料が合金工具鋼のSKS93やSKS3であり、更にCrを添加して焼入性を改善し、空冷を可能にした材料が合金工具鋼のSKD11やSKD61です。

工具鋼は構造用鋼などに比べ焼入性に優れるため、指標としてジョミニーは使用しません。一般的に半冷曲線(焼入冷却速度をX軸、焼入硬さをY軸とし、硬さが出難くなる焼入冷却速度で焼入性を判断します)が用いられます。


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被削性

切削加工のし易さを示す指標です。工具別の切削試験結果などで表します。冷間工具鋼では一次炭化物の多い材料ほど被切削性が悪い傾向があります。熱間工具鋼では、高靭性の成分系が一般的に悪い傾向があります。また、硫黄を添加した快削鋼は、切粉の分断性が向上しますので、被切削性に優れます。


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